元外交官で作家、佐藤優氏の著書「十五の夏」を読みました。
1975年、15歳で1人でソ連・東欧を旅行した際の旅行記です。
読んでいるとムクムクと旅に出たい欲が芽生えてきます。
一方で、15歳の息子を1人で社会主義国に旅行させた佐藤さんの両親に驚いたのでもありました。
「十五の夏」が表現する旅の本質
オススメのオススメのオススメ
ブログで本の感想を書くケイタさんのオススメする本「読書という荒野」。
その中で「十五の夏」が紹介されていて、興味が湧きました。
ケイタさんの書評おもしろくてオススメです!読んでもうその本を読んだ気になれます!
あらすじ
今から40年以上前の1975年、埼玉。
社会主義国に興味を持つ佐藤少年。
浦和高校に合格した佐藤少年に、両親がソ連・東欧の個人旅行を高校の入学祝としてプレゼント(!)
夏休みにポーランド、チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ソ連へ旅立ちます。
見所
まず佐藤少年どんだけしっかり者。
旅行の手配は自分で、旅先では英語で様々な人と交流、分からないことを聞いて時には交渉したり、未成年だからと酒の誘いを断ったり。。
こんな15歳いる?(汗)
私の15歳の頃って、プリ帳(プリクラを張るノート)をいかに充実させるかしか考えてなかったなぁ。
そして時代背景によるギャップ。
社会主義国のソ連、東欧諸国。
日本=資本主義国からの旅行者は国家レベルで厳重警戒。
外人専用ホテルで部屋前に見張りがいたり、一般市民と接触しないよう措置があったりおもしろい。
さらに現地で食べたものの記録、異文化での新たな発見、ときにはトラブル、人との出会い。
読んでいて「旅に出たい!」と思わされます!
乳児がいるのに困ります!
ソ連旅行をすすめる両親
そして何より気になったのは、「両親のソ連旅行推し」
ふつう高1の夏休みにソ連一人旅は勧めないでしょ!
しかも!
佐藤家は特別お金持ちではない!(団地住まい、お母さんはパートに出てる)
両親は海外に行ったことがない!
それでもソ連に興味を持つ息子に、きっとその後の人生に影響を与えると思って大枚はたいてソ連・東欧旅行に送り出すんですよ。
その後、息子は外交官、モスクワの日本大使館に勤務することになるというね・・・。
想像以上の大出世。
うーん。すごい。
ご両親は戦時下を生き抜いてきた背景もあるので、その影響もあるのかと。
乱暴な言い方だけど、戦後を経験した人のメンタルは現代とは一線を画すと思います。
それでも佐藤少年のお母さんは息子を送り出した後、心配で心配で、後悔のあまり倒れてしまったとか。
そうだよね、母親は心配だよね。。
可愛い子には旅をさせよというけれど
自分にできるのか?
息子が興味を持つものに出会ったとき、大金をかけてそれを応援してあげることができるのだろうか?
自分の未知の領域だったとして、それを受け止めてあげれるのだろうか?
例えばだけど、
ホースボール(乗馬しながらバスケするみたいなスポーツ)に興味を持ってる息子に、「よし、キルギス行ってこい!」とすすめてあげたり?
なんか例えとして微妙になってしまった感はあるけど、
「ホースボール?!そんなもん誰が興味あんねん!」と言うより、キルギスに送り出す親になりたいと私は思う。
もちろん、実際にできるかどうかはまた別の話。
いつか試される日が来るのだろーか。
最後に
終始、両親の思いを考えながら、十五の夏、本当おもしろくて一気に読みました!
観光地より市民の暮らしぶりが気になる佐藤少年の新鮮な驚きや感動。
今はネットで現地情報が簡単に手に入りグッと旅行しやすくなりましたが、その分おもしろさも減ってしまったのかもなぁ。
私自身、お目当ての場所をいかに効率的に巡ることだけを考えるようになり、いつの間にかコスパ・効率重視の旅行スタイルに。
現地の人との交流なんて考えなくなっていることに気付きました。
初めて乗った国際線の飛行機では、隣の席の人にとにかく話しかけてたっけ(←うざいなゴメン)
初の一人旅(イラン)は、現地の人に色んな場所に連れて行ってもらったり、食事したり、そこでしか聞けない話を聞くのがおもしろかった。
振り返ったときに印象深いのは現地の人と交流した国だったりする。
旅のワクワク感、ときにはトラブルもあったり、それでもいい人がいて救われたり、それが後になっていい思い出になったり。
旅の醍醐味を思い起こさせる本でした。
あぁ放浪したい。