私の夫はアメリカ人で、息子はいわゆるハーフ。
たまたま見かけたNHKのドキュメンタリーで、ハーフの特集をしていました。
そこにはショッキングな内容が・・・。
ハーフの息子の今後について考えたのでした。
NHKのドキュメンタリー「ひとモノガタリ」
番組の名前は「曖昧な境界を生きて~“ハーフ”から見た日本のカタチ~」
番組の冒頭で、「ハーフという言葉は賛否両論あるが、この番組ではあえてハーフという言葉を使用しています」と説明がありました。
日本生まれ、日本育ちのハーフの方のインタビューを交え番組は進んでいきます。
インタビューの中で最も衝撃だったのは、沖縄に住む若い男性。
父親は黒人のアメリカ人で、両親は幼い頃に離婚。
日本人の母親の元、沖縄で生まれ育ちました。
外見から小さい頃から「ガイジン」とからかわれる事が多くて嫌だったそう。
そして中学卒業後、ある事件が起きます。
中学時代の同級生が、沖縄駐在のアメリカ人兵士に殺害されてしまう・・・。
犯人は黒人でした。
同級生のお葬式に参列した際、黒人に見える外見の彼は、
「お前らがいるから、こんな事件が起きた。」
「アメリカへ帰れ。」
といわれのない中傷を受けたそうです。
その場で自分の事情を説明し、謝罪は受けたそうですが、ひどく傷ついたそうです。
基地があることから、沖縄は特に敏感な地域もあるようですが、非常に辛いお話でした。
しかもその男性はまだお若く、ここ数年での体験なんですよね。。
番組のナレーションはNHKの男性アナウンサー池間 昌人さん。
画像出典:NHK沖縄放送局
彼もハーフで沖縄出身です。
ある日、家の外壁に「雑種」と落書きされているのを見つけ、泣きながら消したそうですが、両親にはその事を言えなかったそう。
辛い・・・。
自分の子供がそんな目に合うと想像しただけでも胸が締め付けられそうになります。
メキシコ系アメリカ人夫の人知れぬ苦労
ところ変わって夫の話。
夫の両親はメキシコ人。
しかし夫はアメリカで産まれたので国籍はアメリカです。
※アメリカ国籍は出生地主義のため、生まれた場所がアメリカならアメリカ国籍が付与されます。
英語・スペイン語(メキシコはスペイン語圏)どちらもネイティブです。
家族との会話はスペイン語ですが、アメリカの学校へ通っていて、どちらかというと英語の方が得意らしい。
親戚のほとんどはメキシコ在住。
小さい頃からメキシコに行くことも多かったのですが、歳の近い親戚には「アメリカ人」とからかわれることが多く嫌だったそう。
例えばスポーツでメキシコ対アメリカ戦があり、皆と一緒にメキシコを応援していると
「なんでアメリカ人なのにメキシコを応援するの?」
と言われて混乱したそうです。
国籍はアメリカでもルーツはメキシコだしね。
ちなみに今は、メキシコ>アメリカ>日本の順に応援するそう。
夫からこの話を聞いたときは驚きでした。
なぜかというとメキシコ系アメリカ人の夫=苦労せず英語・スペイン語話せるラッキー環境みたいにしか思っていなかったから。
人知れない苦労があるのだなぁと思いました。
そう。
日本人の両親から生まれ日本で育った私は、ハーフの気持ちが分からないのです。
想像することはできても当事者にはなりえない。
推し量れない部分もきっとあるかと思う。
現に番組に出てきた一人の女性は、
「“ハーフが羨ましい”と言われるたびプレッシャーで、世間が認知するハーフ顔にならないといけない気がして辛い。」
と言っていたのですが、正直ピンとこなかったのです。
「ハーフが羨ましい」といった側は、悪気無く言っていると思うのですが、それが結果的に彼女を苦しめてしまうとは・・・。
同じハーフでない私、きっと共感できない私は、親としてどう支えていけるのだろう。
私ができることは?
国籍では日本は父母両系血統主義を採用しています。
これは父母のどちらかが日本人だと、子供にも日本国籍が付与される方式。
しかし感覚的に、日本人両親・日本育ちでないと完全な日本人と見なされない傾向があるように思います。
完全な日本人ってなんだよ!そもそもルーツをたどっていけばどこかで異国の血が入ってる可能性もあるわけで、案外誰もが混血じゃないの?!
といったところで、他人の思考は変えられません。
(発信していくことは大事だと思うけど)
息子には、心無い批判を受けても傷つかない強い心を持ってほしいと思います。
いや、それはちょっと望みすぎか?
「アホが。まーた言ってるわ。」
ぐらいで聞き流せるようになってほしい。
そのために親としてできることは、まず息子への愛情を惜しみなく示してあげる事だと思います。
紹介した沖縄の男性も、支えになったのは祖母がいつも
「あなたは唯一無二の存在。」
と励ましてくれたからだそうです。
家族でも恋人でも友人でも、誰かしら無条件に愛してくれる人の存在というのは大きいと思います。
あとは同じ環境で育つ人たちとの交流をすすめてあげることかな。
日本で育ったハーフの子たちとの交流があれば、私はじめ「完全な日本人」には理解できない愚痴や悩みも話せるのかもしれません。
まぁそんな大層なものじゃなくても”ハーフあるある”でも言い合えたらいいなと思います。
最後に
出生や民族など、本人にはどうしようもできないことで貶めるのはカッコ悪い!
これは断言できる。
でもやってる当人たちの意識を変えるのは難しいので、そんなカッコ悪いやつらに負けない息子になってほしいと思います。
そのためには身近な存在である私がしっかり愛情表現することはキモなんじゃないかと思いました。