私の初一人旅はイランでした。
約10年前、写真集で見たイスラム建築が衝撃的に美しく、生で見ることを決意。
調べてみると、意外とイランが治安がよくて、私の求めるイスラム建築盛り沢山なことが判明。
行ってみるとカルチャーショックの連続。
10年経っても色あせない、忘れがたい旅行になったのでした。
イランとは?
正式名称はイラン・イスラム共和国。
場所はここです。
公用語は、ペルシャ語。
英語はほとんど通じませんでした。
国教のイスラム教信者が人口の大部分を占め、法律もイスラムの教えに則っています。
例えば、
・酒はダメ
・女性はヒジャブ(髪を隠すスカーフ)、身体のラインが出ない衣服必須。
・結婚していない男女が公共の場所で一緒に歩くのはNG。
旅行者も同様で、市内には風紀警察が巡回。
違反してると注意、最悪逮捕されます。
イラン入国=飛行機を降りる瞬間から法律は適用されるらしく、現地の女性含めみんな着陸と同時にいそいそとヒジャブを巻き付けてたのを覚えてます。
映えスポットの宝庫
とにかくキラキラづくしだった印象のイランの観光スポット。
写真は世界遺産にも登録されているテヘラン(首都)にあるゴレスターン宮殿の内部。
華やかなガジャール王朝時代(18世紀末~20世紀初め)に建築された贅をこらした宮殿です。
お次は南部シーラーズのシャー・チェラーグ廟。
息を呑むほどキラッキラ!
モスク(イスラム教の礼拝所)ですが、イスラム教徒じゃなくても入れます。
と思ってたのですが、よくよく調べてみると基本異教徒NGだそうで、入れるか入れないかは受付スタッフのさじ加減らしい・・・。
でもイラン人は(本当に)優しいからきっと入れてくれると思います。
礼拝所は男女分かれていました。
こちらもシーラーズにあるナスィーロル・モルク・モスク。
通称ローズモスクやピンクモスクと呼ばれています。
床にはペルシャ絨毯が敷かれ、ステンドグラスから差し込む光が圧巻!
最高なのは、こんなに素敵な場所なのに観光客が少ない事。
この時はアメリカ人(!)グループの観光客がいましたが、グループは去ると私一人。
他に何やらオシャレな感じのカフェがあったり、
ネコがそこら中にいたり。
イスラム教ではネコ>>>>>>>犬なのです。
理由は「猫は清潔で犬は不浄だから」らしい。
いやいや意味不明。
ホスピタリティの化け物、イラン人
これはイランに行った方なら絶対絶対共感してくれると思うのですが、イラン人の優しさ・フレンドリーさは底なしであります。
道を歩いていたとき、20人ぐらいの男子学生グループに囲まれました。
そして一言。
「一緒に写真を撮ってもらえませんか?」
これは私が上戸彩に似てるからではなく、
(上戸彩の子供とうちの子供、2人とも同じ学年になるようで、最近親近感を感じております。)
単にアジア人が珍しいのです。
そして始まる私との撮影大会。
そんな上戸彩気分が味わえるのもイランならでは。
ていうかカツアゲされるかと思ったわ。
長距離バスのサービスエリアで話しかけてきた若いお兄ちゃんは、
「日本から来た?!じゃあこれ持って行け!」
と大量のピスタチオ(イランの名産)を私のリュックに詰めこんできたり、
泊まったホテルでトイレの水が流れなくて部屋からフロントに電話。
しかしフロントのお姉さん、英語が通じない!
電話をあきらめ、フロントで身振り手振りで説明するためフロントに行こうとしたその時、誰かが部屋をノック。
ドアを開けるとそこには、あらゆるトラブルに対応できるよう、全てのツールを装備したお姉さん。
トイレットペーパーやらスッポンやら工具箱やら、自分の体の倍ぐらいの荷物を背負って部屋まで駆けつけてくれたお姉さん。
いい人だと思ったわ。
道端で地図を広げて立ち止まっていると、なんだなんだと人が寄ってきて行き方を教えてくれたり、
やれランチやらお茶やらご馳走してくれ、この後ペルシャ絨毯の営業が始まるなと警戒していると(モロッコでの教訓)
「楽しかったわ!じゃ!」
とあっさり解散。
とにかくホスピタリティの権化と化した人たちが多かったイラン。
一人旅なのに誰かと会話しない日はなかったです。
(人見知りの私はちょっと疲れたw)
女性差別?それとも尊重?
徹底的に男女を分けるイラン
夫婦ではない男女が公の場で一緒にいることを禁じるイラン。
(といっても一緒に歩くぐらいはOKのよう。手をつないだりハグしたりはダメ)
交通機関では、きっちり男女分かれていました。
私が利用したのは、国内線の飛行機、長距離バス(夜行バス)、路線バス。
座席指定の飛行機と長距離バス、隣は必ず女性。
路線バスも後方は女性、前方は男性と完全分離。
確か家族連れや、中年以降の夫婦と思われるカップルは真ん中あたりに一緒にいたかな。
イラン人男性の言い分
こういった決まりについて、出会ったイラン人男性にどう思ってるか聞くと、
「だってイラン女性は美しすぎるから。」
という答え。
イスラム教のコーラン(キリスト教でいう聖書)では、男女は違う生き物であることを前提に、
・女性は美しく守るべきもの
・男性は誘惑に弱いので家族以外の男性に見せるべきではない
ということが書かれてあるそう。
なるほど、それが女性の象徴(=長い髪、胸やお尻)を隠す服装や、未婚の男女が接触しないような決まりがあるのね。
ちなみに接触せずにどうやって結婚相手を見つけるのか・・・
そのあたりはイランの若者はうまいことやってるそうです(意味深)
他のイスラム諸国だと許嫁がいたりします。
しかしイラン女性が美しいのは激しく同意。
ずっと見ていたくなるような美しい顔立ち、服の上から分かるナイスバディな美女をテヘランではいっぱい見ました。
しかし、あくまでこれは男性側の意見。
それでも女性は窮屈そう
若者が集まるマクドナルド(イランにもあるんです)で見た若い子達は、申し訳程度のヘジャブ(乗せてる感じで前髪がっつり見えてた)、露出こそしてませんがタイトなワンピとスキニーパンツで体のラインがばっちり分かる服装でした
アメリカ留学で知り合ったイラン人留学生の女の子は皆、アメリカナイズされた服装でした。
ヘジャブはもちろん着用せず、タンクトップや短いワンピなど。
(一方サウジアラビア人留学生たちは、アメリカでもあの恰好だったので国によって考え方が違う模様)
また過去には痴漢防止の名目で女性のサッカー観戦が禁じられていたり、
出典: https://football-tribe.com/japan/2018/06/22/56666/
女性歌手のソロパフォーマンスは禁止されてたりと、理不尽に感じる決まりがあり不自由を感じる女性も多いと思います。
↓イランの違法ミュージシャンを追う半ドキュメンタリー映画「ペルシャ猫を誰も知らない」で、その様子がよく分かります。
どこでも抱える男女差問題
しかし女一人旅でバスが男女分離されてたのは快適だったのも事実。
痴漢や冤罪を防ぐためにも、いっそ日本の電車も女性専用と同様に男性専用もあればいいと思うんですよね。
どっちも乗れる車両も残してさ。
なんて言ったら男性に
「男性専用車両なんかガラガラになるわ。」
と言われました。
そう?ガラガラなるなら乗りたいやん。
日本でも最近は男女差論争が盛んですが、守ることと権利が奪われることは表裏一体な気がします。
選択の自由が増え救われる人もいる一方、倫理観の崩壊につながることもあり、それが裏目に出ると規制のあった時代が懐古されたり・・・。
バランスを保つことがいかに難しいか。
程度の差はあれ、どの国も同じ問題を抱えているようです。
イラン旅行の注意点
・数字も含め表記は全てペルシャ語。
せめて1~10までの数字をペルシャ語で覚えないと買い物ができません(笑)
・渡航前に服装調達必須。
飛行機を降りた瞬間から、イランの法律が適用されます。
現地調達してると逮捕されます(笑)
男性もハーフパンツなんかはNG。
現地ではポロシャツか半そで襟付きシャツ+長ズボンという恰好が主流でした。
女性のヒジャブは日本で売ってる暗い色の大判ストールで賄えますよ。
・政治情勢に注意
政治的に不穏な動きがあることも事実。
特に対米関係は悪化の一途を辿り続け、2011年3月以降イランの渡航歴があると、ESTA(アメリカのビザ免除プログラム)申請ができません。
数日のアメリカ旅行(ハワイ含む)でもくっそ面倒くさいアメリカビザ申請が必要になりますので、悪しからず。
外務省の渡航情報も参考になります。
出典: https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2018T098.html#ad-image-0
2019年6月現在、イラン中心部は警戒レベル1。
これはインドやフィリピンと同レベルです。
まとめ
イランはキラキラ世界遺産を始め、古代都市遺跡ペルセポリスなど見所十分。
意外ですが都市部なら夜でも出歩ける治安の良さ、ホスピタリティの権化イラン人には圧倒され、終始カルチャーショックに驚かされる魅力いっぱいの観光地!
注意事項はありますが、それでも訪れる価値がある場所だと思います。