ようやく映画ジョーカー見てきたので、ネタバレしながら感想を。
暗い!辛い!
しばらく映画館から逃げ出したくなる衝動に駆られたものの、どんどん引き込まれる。
結果的に最初から最後までずっとおもしろかった!
傍からは理解されにくい障がい
いじりとイジメの境目
承認欲求
母親の彼氏からの虐待
などなど耳にする要素が多く、日本でも話題になっただけある。
社会問題をエンターテインメントとして昇華させたすごい映画だと思いました。
人生ハードモードなアーサー
「ジョーカー」は、コメディアンに憧れていたアーサーが、どのようにしてジョーカーになったかを描く映画。
持病あり、荒れた街でリンチの標的になり、貧困なのに必要な福祉サービスは打ち切られ、ことごとく人生ハードモードなアーサー。
さらに恋人だと思ってたご近所さんが、実は持病からくる完全な妄想だと分かったところは辛い。
このシーン、アーサー目線で臨場感あってドキドキした。
現実と妄想の境界が分からなくなるのは、こういう感覚なのかな。
自分が狂っていると気付いたときの恐怖ってはかりしれない。
というか実際は狂っているんじゃなくて、単なる病気の症状なんだけどね。
薬で抑えられるのに、市の予算削減で必要な薬が入手できない悲しい。
そして、アーサーの憧れていたコメディアン。
ロバートデニーロ演じるマーレーが、自分をやり玉にあげながら笑いを取るシーンがまた・・・心がズキズキした。
しかもMCとしてその場の空気を和ませるため笑いを取るならともかくよ。
わざわざ別番組で、アーサーの1人舞台VTRを取り上げて笑い者にするからね。
このやり方はないわー。
愛がないわー。
このシーン、最近指摘されがちな芸人のイジリを彷彿とさせて、アメリカも日本も同じなんだな、と思った。
個人的に芸人のイジリ問題は視聴者側が過剰に反応しすぎと思うことも多いけど、マーレーのこのやり方は完全にイジメっ子のあれ。
マーレーって日本の芸人に置き換えると、明石家さんまさん的ポジションかな、と考えてみた。(勝手な想像です)
同じ若手芸人いじりでも、さんまさんはお気に入りしかいじらないもん。
さんまさんには愛があるよ。
お茶の間でずっと目標にしてきた人に、こういう仕打ちはキツい。
そしてとどめに、幼少時代の母親からの虐待が明らかに・・・
余談だけど、原作は元々アーサーは奥さんと子供と暮らしている設定だったそう。
それを母親との2人暮らしに変えることで、より”底辺さ”を際立たせている気がする。
親以外で精神的につながったことがない、さらにその親からも愛を受けていなかったというね。
そりゃアーサー、ぐれるわ。
その上で犯した殺人を正当化し、あまつさえヒーローと祭り上げられる場所があったら、そりゃそっちにいくよね・・・・。
何でもかんでも社会のせいにしたいわけじゃないけど、生まれながらに人生のハードモード、イージーモードというのはある。
全ての人が幸せになれるような社会じゃないと、アーサーのようになる人はやはり出てくる。
社会環境って大事だ!
救いもある
でも一方で、いい人も(2人だけ)いる。
アーサーの同僚のゲイリーは優しい。
ゲイリーは身体障がいがあり、そのことで他の同僚にジョークのネタになれるけど、さほど気にしていない様子。
ところで、
目に見える障がいがあるけど、うまくやっているゲイリー。
傍目に分からない精神病持ち、大変なアーサー。
このあたりも対比なのかと考えた。
もう1人、精神病棟でファイル管理を行う事務員。
名前もない役柄だけど、なんかこの人の包容力はんぱなかった。
アーサーに福祉サービスを提案したり、母親の虐待の記録を見られないよう配慮したり、いい人や。
こういう人がもっとたくさんアーサーの近くにいたら未来は違ってただろうなぁ。
人には優しくしようと思いました。
最後に
今までのジョーカー映画でのジョーカー像は、「自分の理想を追求する快楽殺人者」というイメージでした。
でも今回のジョーカーは、他者からの評価にとても重点を置いていた。
たまたま犯した殺人でヒーローとあがめられ生きがいを見つけたり、自分の殺人がデモに発展していくことを嬉しく思ったり。
とにかく人からの評価を求め、認められたいという人間的な一面が見られ、ある意味身近(?)なジョーカーだった。
日本でもかなり話題になりましたが、傍からは理解されにくい障がい、母親の彼氏からの虐待、いじりとイジメの境目、承認欲求など日本でも最近よく聞く要素が多く、騒がれる理由が分かった。
オススメ!とは言えないけど、見る価値のある映画だと思う。
少なくとも私は、人に優しくしようと思えた。
そして最後に主演のホアキン・フェニックス。
普通の画像検索したらめっちゃ男前やん。
あのジメっとしたアーサーの雰囲気出せるのすごい。