ボナブロ

アメリカ人夫・2人の息子と大阪在住。限られた人生、やりたいと思ったことはやれる範囲で挑戦していくボナーラの記録です。

「柔軟で自由な働き方」が新しいブラック企業のフレーズかも【映画 家族を想うとき】

サラリーマンでも副業を考える人が増えているそうです。

そんな中、「柔軟で自由な働き方」「収入アップの副業」という文句で、搾取する企業があるそうな。

12/13公開の英映画「家族を想うとき」はイギリスの非正規雇用者の生活を基にしています。

 

舞台は不景気の続くイギリス

 10年以上も経済低迷を続けるイギリス。

その間100万人以上も自営業者が増加。労働人口の15%、およそ7人に1人が自営業者だそう。

自営業者は自分でお店や会社を経営する人たちもいますが、ほとんどが非正規雇用者・・・!

イギリスの自営業者は低賃金・不安定な雇用形態で企業にとって都合のよい形で働く非正規雇用者が多く含まれるそうです。

 

「柔軟で自由な働き方」と聞こえはいいが・・・

 映画はケン・ローチ監督自身が、当事者の体験談に話を聞いて作られたそうです。

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主人公の夫婦はどちらも非正規雇用者。

夫は大手ネット通販の配達を請け負うドライバー。仕事は荷物1個単位の出来高払い。

届ける荷物とドライバー自身の居場所が常にGPSで監視され、時間内の配達を強いられるためトイレ休憩さえも難しい。

一方でもし荷物の紛失、盗難が起これば、自営業者として賠償金を支払わないといけないのです。さらに病気やケガ、家族の緊急時のサポートもありません。 

妻は契約看護師・介護福祉士。

雇用者からの呼びかけ次第で、現場に赴き働く形。週あたりの労働時間は決まっていません。

1回の訪問ごとに報酬が発生し、移動時間を含めると1日13時間以上も働くことも・・・。

 

こうした単発だったり短期間の労働で成り立つ市場は「ギグ・エコノミー」と呼ばれていて、「柔軟で自由な働き方」「収入アップの副業」と聞こえはいいのです。

しかし実際は、仕事先への移動中に事故にあっても労災がおりなかったり、事故や不具合が起こった時の責任を丸投げされたりとリスクも大きいのです。

 

日本で拡大するウーバーイーツは典型的な例

 アプリを介して個人が配達を代行するウーバーイーツはギグ・エコノミーの典型例。

隙間時間に働ける手軽さから普及しつつありますが、個人事業主として働く配達員は下記のようなデメリットもあります。

・配達中、事故にあっても治療費は自腹(労災対象外)

・配達に使用する自転車・バイク代、メンテナンス代は自腹

・待機していても注文が入るまで報酬は発生しない

・安全運転で配達が遅れると、注文主から評価が下げられることがある

 

最近では注文した商品がぐちゃぐちゃな状態で届いて、ウーバーイーツにクレームを入れるも「個人事業主なので関与できない。」と回答され、注文主が泣きを見た事例もありました。

 

便利なサービスである一方、注文主は不満が残り、配達員はリスクだらけ、仲介するウーバーイーツだけがオイシイとこ取りしていて(いや、ウーバーイーツがシステム作ってるんだから当たり前だけど)、労働の質の低下につながる気もします。

 

日本でも増えるであろう非正規を搾取する企業

残業管理が厳しくなり、帰宅時間は早まったはいいが、収入も減ってしまった人も多いはず。サラリーマンの副業が増えているのも納得できます。

「柔軟で自由な働き方」のフレーズは魅力的に感じますが、効率的に稼ごうと思って逆に労働力を搾取されることになりかねません。

 

自由には責任が伴う!

おいしい話にゃ裏がある!

美しいバラには棘がある!

 

どういう条件で賃金が発生するか、どういったリスクがあるか、不都合が起こった時責任を持つのは誰なのか、よく見極めたいものです。

 

不景気業界の先輩(?)のイギリスではこうした企業に搾取され、働き方を選べないイギリス人が数100万人といるそうです。

家族のために働いているのに、家に帰ると疲れ切って家族と楽しむ過ごす時間もなく、ときにストレスのはけ口を家族に向けてしまう・・・。

働く目的を見失わないようにしなくてはいけません。

 

 

参考:ビッグイシュー

今回の記事はビッグイシュー12月号に載っていたケン・ローチ監督のインタビューを参考にしています!

 

 

欠点はある程度、都会の駅まで行かないといけないことかな。

最寄り駅では売ってない・・・。

 

映画「家族を想うとき」は12/13から単館系映画館を中心に公開です!