ボナブロ

アメリカ人夫・2人の息子と大阪在住。限られた人生、やりたいと思ったことはやれる範囲で挑戦していくボナーラの記録です。

古文のSATC?! 枕草子のおもしろさを教えてくれた田辺聖子さん

作家の田辺聖子さんが亡くなりました。
享年91歳。

 

息子と見ていたNHKの教育番組「にほんごであそぼ」で、「絵合わせ百人一首」というコーナーがありました。
そこで何となく百人一首に興味を持った私。
電子書籍で高レビューだった「田辺聖子の小倉百人一首」を早速ダウンロード。

 

和歌の意味はもちろん、歴史的背景についても、大阪弁の架空の登場人物との対話を通して説明されています。
分かりやすく、どんどん読み進めていったのを覚えています。

 

百人一首は、素晴らしい歌を集めた歌集とばかり思ってたのですが、田辺さんに言わせればアホみたいな歌や駄作もたくさん入ってるのだそう。


単にいい歌を集めたものではなく、百の歌全体で何かの意味をもつ、編集者が何か思惑があって作られた歌集という見方が専門家であるそうです(ダビンチコードみたい!)

 

「田辺聖子の小倉百人一首」の中で、田辺さんの"清少納言ひいき"を感じ、次にダウンロードしたのは「むかしあけぼの」
これは清少納言の枕草子(春はあけぼの…のやつです)を元に、清少納言を主人公に、彼女の半生を描く小説です。

 

これがとてもおもしろかった!
私の感想は、「これは平安時代版SEX AND THE CITY!」

https://media.gettyimages.com/photos/left-to-right-actresses-kim-cattrall-sarah-jessica-parker-cynthia-picture-id1603951?s=2048x2048

出典: gettyimages

 

SEX AND THE CITY(以下SATC)とは、アメリカNYに住む女性の生活を描き世界中に大ヒットした海外ドラマ。


タイトルこそSEX=性で、恋愛がドラマの軸になりますが、様々な人の人生観、女の友情、美しいNYの街並み、心ときめくファッション、主人公キャリー(ライター)の美しい言葉選びなど心惹かれる要素がたくさんあります。

 

後に田辺さんが自著「むかしあけぼの」について書かれた中で、こういう一説があります。

 

私は充足の対象を異性関係に限定する考えかたを好まない。現代の人は、あまりに性を肥大化して考えすぎている。人間の充足感は、同性への敬慕、自然と人生への心おどる観察、あるいは創作のよろこび、可能性に挑戦する意欲、それらで燃焼されることも多い。

出典: 文藝春秋BOOKS 

 

女の人生(少なくとも私の人生)は、恋愛と離れた時間の方がよっぽど長いと思います。
歌人の父と楽しく過ごした少女時代、自然に対する情緒、尊敬する女主人に仕え、同僚の女性と楽しくやったり、時には機知に富んだ返しで宮中の男性陣に評価されたり、様々な人生の楽しみを教えてくれます。

 

といっても清少納言は2度の結婚(平安時代に!)、プレイボーイとワンナイトがあったり、微妙な関係の男友達がいたり、「むかしあけぼの」では恋愛方面も何やら楽しそうですがw

 

本を読んでからかなり時間が経つので、また読み返してみようと思います。
田辺聖子さんのご冥福をお祈りいたします。